リモートワーク対応 アプリの種類と選び方
リモートワークが一般的になった現在、適切なツールの選定は業務効率に大きく影響します。テレワークを円滑に進めるためには、オフィスと変わらない、あるいはそれ以上に効率よく業務を進められるアプリが必要です。しかし、数多くのアプリから自社に最適なものを選ぶのは容易ではありません。
リモートワークに必要なアプリは大きく分けて7種類あり、それぞれの目的に応じて選定する必要があります。導入前に自社の業務フローやニーズを分析し、必要な機能を持つアプリを選ぶことが重要です。また、使いやすさや連携性、セキュリティ面も考慮すべきポイントです。
リモートワーク対応 チャットアプリで円滑なコミュニケーション
リモートワーク環境では、対面でのコミュニケーションが難しいため、チャットアプリが重要な役割を果たします。チャットアプリは、メールとは異なるスピード感のあるやりとりが可能で、テキストだけでなく画像やファイル、スタンプなどあらゆる情報を簡単に送信できるのが特徴です。
代表的なチャットアプリには以下のようなものがあります。
- Chatwork: ビデオ通話機能も備えたチャットアプリで、無料プランもあり。ただし無料プランではメッセージの閲覧に制限があります。有料プランは840円/ユーザー/月から利用可能です。
- Slack: エンジニア向けの多機能なチャットアプリとして知られていますが、様々な業種で利用されています。無料プランでは90日経過するとメッセージ履歴が見られなくなるという制限があります。有料プランは1,050円/ユーザー/月からです。
- Microsoft Teams: Microsoft 365に含まれるチャットアプリで、Office製品との連携が強みです。
チャットアプリを選ぶ際は、使いやすさだけでなく、情報の検索性や他のツールとの連携性も重要なポイントです。また、チャットでのやりとりはすべて流れてしまうため、業務に関する重要な情報は別途蓄積しておく必要があります。そのため、情報の管理と共有が一元的にできるツールとの併用がおすすめです。
リモートワーク対応 ビデオ会議システムで顔を見ながらの打ち合わせ
リモートワークでも顔を合わせてコミュニケーションが取れるビデオ会議システムは、テレワークの要となるツールです。音声だけでなくビデオ機能があるため、メールやチャットのやりとりだけでは決められない重要事項を話し合うのに適しています。また、会議の様子を録画する機能もあり、参加できなかった社員も内容を後から確認できます。
主要なビデオ会議システムには以下のようなものがあります。
- Zoom: 登録なしで参加できる使いやすさが特徴で、多くの企業で採用されています。無料プランには時間制限がありますが、有料プランは2,125円/ユーザー/月からとなっています。
- Google Meet: Googleアカウントがあれば簡単に利用でき、Googleカレンダーとの連携も便利です。
- Microsoft Teams: チャット機能だけでなく、ビデオ会議機能も充実しています。
ビデオ会議システムを選ぶ際は、参加者の最大人数、画面共有機能、録画機能などの機能面だけでなく、インターネット環境が整っていない場合の通信量も考慮する必要があります。また、セキュリティ面も重要なポイントで、会議の暗号化や参加者の認証方法などもチェックしておくべきです。
実際に株式会社Tooでは、Zoomを活用して社内打ち合わせを行っており、「リアルよりも集中できる」「打ち合わせのために会社に戻る必要がなく、時間を有効活用できる」などの声が上がっているそうです。
リモートワーク対応 勤怠管理システムで労働時間の適切な把握
リモートワークでは、社員の勤務状況を把握することが難しくなります。そこで重要になるのが勤怠管理システムです。離れた場所にいる社員の出勤状況や残業時間をリアルタイムで確認でき、勤務時間のデータを一元管理することで給与計算の負担も軽減されます。
主要な勤怠管理システムには以下のようなものがあります。
- ジョブカン勤怠管理: クラウド型の勤怠管理システムで、様々な勤務体系に対応しています。ICカードや指静脈認証の打刻、GPS、LINE、Slack打刻など多様な打刻方法に対応しており、高いカスタマイズ性が特徴です。初期費用は無料で、機能が増えるごとに1ユーザーあたりの金額が月額200円から100円ずつ増えていく仕組みです。
- jinjer勤怠: 直感的な操作性と豊富な機能を持つ勤怠管理システムです。勤怠管理だけでなく、給与計算や人事管理機能も備えています。
- TeamSpirit: Salesforceのプラットフォーム上で動作する勤怠管理システムで、営業職など外出の多い社員の勤怠管理に適しています。
勤怠管理システムを選ぶ際は、自社の勤務体系や就業規則に合わせたカスタマイズが可能かどうか、他のシステム(給与計算システムなど)との連携が可能かどうかを確認することが重要です。また、「ワークフロー申請」や「打刻機能」などの高度な機能を搭載したものも多くありますが、必要な機能を見極めて、無駄な料金コストを払わないよう注意しましょう。
リモートワーク対応 タスク管理ツールで業務の進捗を可視化
リモートワークでは、誰がどの業務を担当しているのか、進捗状況はどうなっているのかを把握することが難しくなります。タスク管理ツールを活用することで、チーム全体の業務の進捗状況を可視化し、タスクの抜け漏れを防ぐことができます。
主要なタスク管理ツールには以下のようなものがあります。
- Trello: カード形式でタスクを管理できる直感的なツールで、視覚的に進捗状況を把握できます。無料プランでも十分な機能があり、小規模なチームに適しています。
- Asana: より詳細なタスク管理が可能で、プロジェクトの進捗状況をガントチャートで表示することもできます。中規模以上のチームに適しています。
- Redmine: エンジニアチーム向けのタスク管理ツールで、「チケット」という機能で効率的にタスク管理ができます。情報が1つのデータベースで管理されているため、チームでタスクをリアルタイムで共有可能です。ガントチャート機能もあり、誰がいつまでにどのタスクをやるべきかを可視化できます。
タスク管理ツールを選ぶ際は、自社の業務フローに合ったものを選ぶことが重要です。また、他のツール(チャットアプリやカレンダーなど)との連携が可能かどうかも確認しておくと良いでしょう。
タスク管理ツールは日々発生する細かい業務を管理できるだけでなく、緊急度の高い順に整理したり、突発的な業務にも対応できたりと、リモートワークでの業務をサポートしてくれます。リモートワークで目の前の業務すら見失いがちになる今だからこそ、タスク管理ツールの活用が重要です。
リモートワーク対応 情報共有アプリで知識の一元管理と効率化
リモートワークでは、オフィスでの自然な情報交換が難しくなるため、情報共有アプリが重要な役割を果たします。情報共有アプリを活用することで、「誰が、何を、どこまで進めているのか」を把握でき、業務に関する情報を一元管理することができます。
主要な情報共有アプリには以下のようなものがあります。
- ナレカン: 最もシンプルな情報管理・共有アプリとして紹介されています。「記事」に情報を書き込めば即共有でき、他のメンバーに「質問」を投稿して回答をリクエストすることも可能です。さらに、生成AIを活用した「自然言語検索」によって、必要な時にすぐに情報へアクセスできるので、在宅でも円滑に作業を進められます。
- Stock: 非IT企業の65歳でも簡単に使える情報共有アプリとして紹介されています。無料プランがあり、有料プランは1人あたり500円/月からとなっています。
- Notion: ドキュメント作成、タスク管理、データベース機能など多機能な情報共有ツールで、カスタマイズ性が高いのが特徴です。
情報共有アプリを選ぶ際は、使いやすさだけでなく、情報の検索性や整理のしやすさも重要なポイントです。また、他のツール(チャットアプリやタスク管理ツールなど)との連携が可能かどうかも確認しておくと良いでしょう。
情報共有アプリは、テレワークだけでなくオフィスワークでも活躍するツールです。仮に、テレワークに情報共有アプリを導入していないと、業務に関する情報が社内のいたるところに分散するので、目的のデータを探し出すのに苦労します。そのため、社員同士が離れた場所にいるテレワークでは、「進捗状況の確認」と「情報の一元管理」ができる情報共有アプリが不可欠です。
リモートワーク対応 セキュアなリモートデスクトップで社内環境へのアクセス
リモートワークでは、社内のシステムやデータにアクセスする必要がある場合があります。そのような場合に活用できるのがリモートデスクトップです。リモートデスクトップを使用することで、自宅のPCから社内PCにアクセスし、オフィスにいるかのように作業することができます。
代表的なリモートデスクトップには以下のようなものがあります。
- Soliton SecureDesktop: データを端末に残さない高速画像転送で快適な操作が可能なリモートデスクトップです。オフィスPCの活用でVDI導入コストを3分の1以下に抑えられるというメリットがあります。タブレットやMacなど、様々なデバイスからアクセスできるのも特徴です。
- Microsoft リモートデスクトップ: Windowsに標準搭載されているリモートデスクトップ機能で、追加コストなく利用できます。
- TeamViewer: 個人利用は無料で、商用利用は有料のリモートデスクトップソフトウェアです。使いやすいインターフェースと高いセキュリティが特徴です。
リモートデスクトップを選ぶ際は、セキュリティ面が最も重要なポイントです。データの暗号化や認証方法、アクセス制限などのセキュリティ機能が充実しているかを確認しましょう。また、操作性や転送速度も重要な要素です。インターネット環境が整っていない場合でも快適に操作できるかどうかを確認しておくと良いでしょう。
リモートデスクトップは、CADデータや電子カルテなど、特定のソフトウェアが必要な業務や、セキュリティ上の理由でデータを持ち出せない業務に特に有効です。また、分離ネットワーク環境でも、閉域PCからインターネット閲覧PCへのアクセスなど、様々なシーンで活用できます。
なお、Soliton SecureDesktopのオンプレミス版およびWoL Boxは2028年6月30日をもってサポート終了、販売終了日は2025年6月30日となっているため、導入を検討する際は注意が必要です。
リモートワーク対応 アプリ選びで注意すべきポイント
リモートワーク対応アプリを選ぶ際には、いくつかの重要なポイントに注意する必要があります。適切なツールを選ぶことで、リモートワークの生産性を大きく向上させることができます。
まず、シンプルさと使いやすさを重視しましょう。多機能なアプリを導入したり、用途ごとに複数のツールを併用したりすると、上手く使いこなせず社内に浸透しないことがあります。特に、社員のITスキルに差のある企業では、「個人の検索スキルに依存せず、欲しい情報を見つけ出せること」が重要です。
次に、セキュリティ面も重要なポイントです。リモートワークでは社外からの接続が増えるため、データの暗号化や認証方法、アクセス制限などのセキュリティ機能が充実しているかを確認しましょう。特に、顧客情報や機密情報を扱う業務では、セキュリティ対策が不可欠です。
また、他のツールとの連携性も考慮すべきポイントです。例えば、チャットアプリとタスク管理ツール、カレンダーが連携していれば、業務の効率が大きく向上します。