人事給与システム 自治体 導入のメリットと選び方
人事給与システム 自治体向けの特徴と基本機能
自治体向け人事給与システムは、公務員制度特有の複雑な給与体系や人事制度に対応した専用システムです。民間企業向けのシステムとは異なり、自治体特有の制度や規則に準拠した機能を備えています。
基本的な機能としては以下のようなものが挙げられます:
- 人事情報管理: 職員の基本情報、学歴、職歴、発令履歴などを一元管理
- 給与計算処理: 給料表に基づく給与計算、各種手当の自動計算
- 昇給・昇格管理: 人事評価結果を反映した昇給・昇格処理
- 会計年度任用職員対応: 2020年度から導入された会計年度任用職員制度への対応
- 各種帳票出力: 給与明細、源泉徴収票、給与支払報告書などの自動作成
最新の自治体向け人事給与システムでは、Webブラウザ上で全ての操作が完結するクラウド型のシステムが主流となっています。これにより、場所を選ばず業務が行えるようになり、テレワークなど多様な働き方にも対応できるようになりました。
人事給与システム 自治体DX推進における役割と効果
自治体DX(デジタルトランスフォーメーション)推進において、人事給与システムは重要な役割を担っています。従来の紙ベースやスタンドアロン型のシステムから、クラウド型のシステムへ移行することで、業務プロセスの抜本的な見直しと効率化が可能になります。
自治体DXにおける人事給与システムの効果は以下の通りです:
- ペーパーレス化の実現
- 申請書や帳票の電子化により紙の使用量を削減
- 保管スペースの縮小と文書検索の効率化
- データ連携による業務効率化
- 人事情報と給与情報の連携により二重入力を排除
- 財務会計システムや庶務事務システムとの連携による業務の一元化
- 意思決定の迅速化
- リアルタイムでのデータ分析と可視化
- 人件費シミュレーションによる予算編成の効率化
- 働き方改革の推進
- テレワークなど場所を選ばない働き方の実現
- 業務効率化による時間外勤務の削減
株式会社両備システムズが2025年2月にリリースした「公開羅針盤V4人事給与システム」は、自治体DXを推進するために開発されたシステムで、外部機関からのデータ連携や電子報告、財務会計システムへの連携にも対応しています。このようなシステムの導入により、自治体の業務効率化と住民サービスの向上が期待できます。
人事給与システム 自治体職員の評価管理と人材育成への活用法
人事給与システムは単なる給与計算ツールではなく、職員の評価管理や人材育成にも活用できる重要なシステムです。特に2016年に施行された法律により、地方公共団体でも人事評価制度の導入が義務づけられたことから、その重要性はさらに高まっています。
人事評価と人材育成への活用方法としては以下のようなものがあります:
- 評価プロセスの電子化
- 評価シートのクラウド管理による評価作業の効率化
- 評価過程や結果の可視化による公平性・透明性の確保
- 人材情報の蓄積と分析
- 職員のスキルや経験、評価履歴などの情報を一元管理
- 蓄積されたデータを基にした人材配置や育成計画の策定
- キャリアパスの設計
- 職員の適性や志向に合わせたキャリアパスの提案
- 必要なスキルアップのための研修計画の立案
- エンゲージメントの向上
- 公平で透明性の高い評価による職員の納得感向上
- 適材適所の人材配置によるモチベーション向上
実際に人事評価システムを導入した自治体の事例として、大阪府寝屋川市では、360度評価や実績評価・能力評価などを取り入れることで、評価の納得感を高め、職員のモチベーション向上につなげています。また、鳥取県では人材育成を目的として人事評価制度を見直し、評価結果などの人材情報を蓄積して面談などにも活用しています。
人事給与システム 自治体向けパッケージ選定のポイントと比較方法
自治体向け人事給与システムを選定する際は、自団体の規模や特性に合ったシステムを選ぶことが重要です。以下に選定のポイントと比較方法をご紹介します。
選定のポイント
- カスタマイズ性
- 自治体独自の制度や運用に対応できるか
- 将来的な制度改正に柔軟に対応できるか
- 拡張性
- 段階的な機能追加が可能か
- 他システムとの連携が容易か
- 操作性
- 直感的な操作が可能か
- 職員への教育負担が少ないか
- セキュリティ
- 個人情報保護対策は十分か
- アクセス権限の細かな設定が可能か
- サポート体制
- 導入後のサポート体制は充実しているか
- 制度改正時の対応は迅速か
比較方法
システム選定の際は、以下のような方法で比較検討することをおすすめします:
比較項目 | 確認ポイント |
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機能面 |
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技術面 |
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コスト面 |
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サポート面 |
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実際の選定プロセスでは、複数のベンダーからの提案を受け、デモンストレーションを実施してもらうことで、操作性や機能性を実際に確認することが重要です。また、すでに導入している他の自治体の評判や運用状況を参考にすることも有効な方法です。
人事給与システム 自治体における会計年度任用職員への対応と課題
2020年4月から導入された会計年度任用職員制度は、自治体の人事給与システムに新たな課題をもたらしました。従来の臨時・非常勤職員とは異なる処遇や給与体系に対応するため、システムの改修や新規導入が必要となっています。
会計年度任用職員制度への対応ポイント
- 多様な任用形態への対応
- フルタイム会計年度任用職員と、パートタイム会計年度任用職員の区分管理
- 日給・時給職員の勤務実績管理
- 給与計算の複雑化
- 期末手当の支給対象化
- 勤務実績に応じた給与計算
- 任用管理の効率化
- 任用期間の管理
- 更新手続きの効率化
- 社会保険等の自動判定
- 勤務形態情報に連動した社会保険・雇用保険の取得・喪失対象の自動判定
- 扶養手当の特定扶養、年齢喪失・税扶養の年少・特定・老親等の自動判定
最新の人事給与システムでは、正規職員と会計年度任用職員を同一のシステムで一元管理できるようになっています。例えば、両備システムズの「公開羅針盤V4人事給与システム」では、正規職員や会計年度任用職員に関係なく、人事情報、給与情報、福利厚生情報を一つのパッケージで一元管理できる点が特長です。また、内田洋行の「e-ActiveStaff人事給与・庶務事務」も会計年度任用職員制度に標準対応しており、任用管理、勤務実績管理、休暇管理、期末勤勉手当計算等の一連の業務を管理できます。
会計年度任用職員への対応は、単にシステムの機能追加だけでなく、業務フローの見直しも含めた総合的な取り組みが必要です。特に、勤務実績の管理や給与計算の正確性を確保するためには、庶務事務システムとの連携も重要なポイントとなります。
人事給与システム 自治体におけるクラウド化のメリットとセキュリティ対策
従来のオンプレミス型からクラウド型への移行が進む自治体の人事給与システム。クラウド化によるメリットと、それに伴うセキュリティ対策について解説します。
クラウド化のメリット
- コスト削減
- サーバー設備の導入・維持コストの削減
- システム更新の簡素化による保守コストの低減
- 業務の効率化
- 場所を選ばない業務環境の実現
- システム更新の自動化による最新機能の利用
- 災害対策の強化
- データのバックアップ体制の強化
- 災害時の業務継続性の確保
- スケーラビリティの向上
- 組織規模の変化に柔軟に対応
- 必要に応じた機能の追加・拡張
セキュリティ対策のポイント
クラウド化に伴い、個人情報や機密情報を扱う人事給与システムでは、セキュリティ対策が特に重要です。
- アクセス制御
- 多要素認証の導入
- 権限管理の徹底
- データ保護
- 通信の暗号化
- データの暗号化保存
- 監査とログ管理
- アクセスログの取得と分析
- 定期的なセキュリティ監査
- コンプライアンス対応
- 個人情報保護法への対応
- 自治体情報セキュリティポリシーへの準拠
クラウド型の人事給与システムを選定する際は、ISMAP(政府情報システムのためのセキュリティ評価制度)やISO27001などの認証を取得しているベンダーを選ぶことも一つの判断基準となります。また、データセンターの所在地や冗長化対策についても確認しておくことが重要です。
自治体の業務システムのクラウド化は、総務省が推進する「自治体DX推進計画」の中でも重要な取り組みとして位置づけられており、今後さらに加速することが予想されます。クラウド化によるメリットを最大限に活かしつつ、適切なセキュリティ対策を講じることが、自治体の人事給与システム導入の成功につながります。